土用の丑の日が有名なため、鰻は夏の食べ物という印象が強い。しかし実際には、冬眠前に脂をたっぷりと蓄えた冬の鰻こそが、最も旨い。
十月から十二月にかけて、鰻は越冬の準備として豊富な餌を食べ、体内に脂肪を蓄える。この時期の鰻は身がぷっくりと丸みを帯び、焼いた時の香りも格別だ。
冬眠を前にした鰻の脂は、一年で最も深みを増す。その豊かさを逃す手はない。
自宅で最高の一杯を楽しむためのポイントをお伝えしよう。まず、鰻を湯煎で温めた後、グリルで表面を軽く炙る。焦がさないよう注意しながら、表面がわずかにカリッとするまで。この一手間が、炭火の香りを蘇らせる。
熱々の白米の上にのせ、刀鰻の秘伝タレをひと垂らし。仕上げに実山椒を少量。冬の夜、熱燗と共に楽しむ鰻重は、この上ない贅沢である。